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2013年6月13日 (木)

「惜櫟荘だより」を読む

先日テレビ(BS)で熱海の「惜櫟荘」保存修理の番組を見た。作家の佐伯さんが熱海の家の隣にあるこの建物を手に入れ再生するまでの様子を記録した番組だったけれど清々しい内容でよい番組だった。調べたら、その様子は「図書」という小冊子に連載され、岩波書店から出版されているjことが分かった、すでに3版だった。私は全く知らなかったけれど、早速購入して読んだ。

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作家の佐伯泰英氏が「時代小説文庫書下ろし」作家として十数年間書き続け、180余冊の文庫と累計4000万分という記録をお持ちであることは全く知らなかった。

氏は熱海に仕事場を構え、縁あって惜櫟荘を譲り受け、後世に残すために完全修復を志され、見事蘇らせた。

5月に小田原市の松永記念館「老欅荘」見学会で気になった建物保存についてブログにも書きとめたが。その日から幾日もしないうちにこのTV番組に出合い、またその建物「惜櫟荘」は岩波文庫の社長の依頼により名建築家「吉田五十八」によって建てられたものというのが私にとってとても興味深かった。実は今月下旬に同じく「吉田五十八」による「旧岸信介別邸(御殿場市)」を見学することになっていたからである。

吉田五十八の建築では葉山にある「山口蓬春の画室」が素晴らしかったことを覚えている。そして鎌倉の「鏑木清方の画室(再現?)」も。

なんとこの本を読んでいたら完成披露の会には「旧岸信介別邸」の関係者(虎屋グループの人たち)も佐伯さんはお招きしていた。「旧岸信介邸」は現在御殿場市が所有しており、和菓子の老舗「虎屋」はその隣に工場を持ち、御殿場市から旧岸邸の委託を受けて管理している。

富士山を挟んで南と北にある吉田作品を保存していく時、お互いが協力できないかとの考えからであったそうな。

佐伯さんは岩波文庫からは本を出されていないが、「『惜櫟荘』が岩波文庫によって建てられたと聞く。それを時代小説文庫書き下ろしが受け継いだと考えれば、まるで「縁」がなかったわけでもあるまい。」と書いていらっしゃる。

いつか知り合いの骨董店の主人が「力のあるものは残っていくんです。」と言っていたが、ほんとうだと思う。

「老欅荘」も自主的に開いた12月半ばの説明会の日、紅葉がそれはそれは美しく、見学者たちに残してくださいと言っているようだった。その光景は見学会に来た人々に残さなければいけない!という気持ちを強くさせたと思う。力のあるものは訴えるものを持っているのだと思う。

佐伯さんはご自分のあと、誰が守ってくれるのか思案していらっしゃるようだけれど、これを失うようなことがあってはならないと思う。建築に携わる人々の知恵が詰まっているし、美の神様も宿っているような気がする。

佐伯さんは「惜櫟荘」の庭からの相模湾の眺めは「心」という字のようだと書いている。真鶴半島、初島、大島、伊豆半島が見える景色がそのように見えるらしい。

この本を読んでいたら作家佐伯氏はスペインに住んでいたことがあり、グスタボ磯江、アントニオ・ロペスと親交があったことが分かった。磯江の絵は練馬区美術館の展覧会で見た。そして、ちょうど「bunkamura」美術館で「アントニオ・ロペス展」開催中。行こうかどうしようか迷っていたけれど行きました!

磯江とは全く作風の違う「スペインリアリズム」の作家だった。

それにしても佐伯氏はすばらしいことをなさったと思う。ご自分の稼ぎでここまで出来るとはすばらしい。とても有効なお金に使い方で、もっと世の中に知られてもよいと思う。市役所なんかに任せたらとんでもないことになっていただろう。

ひとつのTV番組からいろいろなつながりへ、そして関心が広がる・・・佐伯さんが訪れた「ホイアン」に行ってみたくなった。ベトナムは白いごはんまで私の苦手な「ココナッツ」で炊かれているのでもう二度と行かないと決めていたけれど心が動き始めた。

*そしてこのTV番組を見ていたときすぐこれは「テレコムスタッフ」の作った番組だなと気が付いた。最後のクレジットを見ていたらやっぱり「テコムスタッフ」だった。この会社は心を打つ番組を作る。大好きなBS日テレ「小さな村からイタリア」もそうだ。すぐにテレコムスタッフのブログに「いい番組を作ってくれてありがとう」って書き込みをした。「見逃してしまったので再放送して」という「コメント」、や「とてもよかった」というコメントもあったと思う。

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コメント

良いお話をうかがいました。tawarayaさんのアンテナはすごーいですね。
湘南は暖かいだけに政治家、文化人、実業家の別荘や別邸など残っているだけに保存か開発かなんて云っている時代は終わり、文化国家としての日本の生き残りをお金のある人は吐き出して欲しい。

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