無料ブログはココログ

« 北坂伸子先生の韓国料理教室15回目 | トップページ | 伊集院真理子展 »

2013年6月22日 (土)

「東山旧岸邸」見学

小雨が降ったりやんだりの梅雨の一日、御殿場市東山旧岸邸を訪ねた。東山旧岸邸は、首相を務めた岸信介の自邸として1969年に建てらた。

伝統的な数寄屋建築の美と、現代的な住まいとしての機能の両立を目指したこの邸宅は、建築家・吉田五十八の晩年の作品であり、氏の建築美学の到達点の一つといえる。(案内書から)

JR御殿場線御殿場駅からタクシーで10分くらい。萱ぶきの門をくぐって、緑したたる林の小道をしばらく歩くと白い壁の清楚な感じの建物が見えてくる。

2013620_009


2013620_002
二つの窓の真ん中に見える入口は内玄関。家族はここから入ったそうである。その左手につづく低い屋根はもとは車庫だったところ。今は入場券売り場やトイレ、グッズ売り場になっているが、使用人出入り口はこの奥にあったらしい。

2013620_004
上の写真でみると内玄関の方はイギリスの中世チューダー朝(1485-1603ヘンリー7世からエリザベス1世)様式を取り入れた民家風。母屋は右の平屋の方。二枚の引き戸が玄関。岸さんが出入りなさっていた玄関。見学者はここからは入れない。専用入口が設置されている。玄関の中には黒御影石(?)が正方形に切られ、禅宗寺院のように敷き詰めてあり、重厚な感じである。

五十八が考えた設計プランは現在確認できるもので三通りあるとのこと。いずれも岸信介の職業と生活を意識した間取りで、機能別に三つのゾーンに分かれている。来客を予想してのパブリックゾーン、完全なプライベートゾーン、生活全般を支えるサービスゾーンである。台所部分がコンクリート造りなのも万が一を考えての配慮であろう。

一階のパブリックゾーンは重々しく、しかし二階の寝室部分は夫人にも配慮した機能的で落ち着いたものだった。生憎天気が悪く、二階和室からの富士山は見ることが出来なかった。(普段の見学では二階部分は見ることが出来ない。今回は特別な許可を得た見学会であった。)

一階居間から見たお庭。(岩城造園が担当)

2013620_005
遣り水のように小さな流れがある。

特別な指示がない限り邸内は撮影可能だが、やはり主のいないお部屋は無味乾燥で撮る気にならなかった。

いたるところに五十八らしい心配りがされた住まい。特に関心したのは和室(茶室)の水屋の流し。水が跳ね返らないように深くできていたこと。実際に使ったことがなければわからないことだと思う。

売店で販売している小冊子によれば

設計 吉田五十八

施工 水沢工務店

造園 岩城造園

敷地面積 5669.17㎡

延床面積 567.66㎡

構造 木造一部RC 地上2階

竣工 1969年

五十八はこの家で様々な試みをしている。オフィス用の大きなガラスドアの設置、大壁構造による木割からの解放、吊束の廃止と欄間の吹き抜け、押込戸の考案、工業生産材料(アルミのすだれ)の使用、レベル差のある部屋などである。

建築史がご専門の神奈川大学教授内田青蔵教授によれば、「これらは五十八が近代数寄屋の確立のために長年かけて創出した手法であり、旧岸邸はまさにこの手法がちりばめられた宝物のような作品といえる。」とのことであった。

旧岸邸は現在は御殿場市のものであるが、管理は「虎屋」が担当しており、敷地内には「とらや工房」というカフェがある。こちらの建物は内籐廣の設計になるもので見ごたえがある。

2013620_007
カフェはセルフサービスであるが、こちらでしか味わえない限定商品もあり、お菓子とお茶をいただきながらゆっくりとくつろげる。私はみつ豆をいただいた。寒天のつるりとした味わいが美味しかった。お茶はお代わりOK。

ヤマボウシが満開だった。

2013620_008_2
季節を変えてまた訪問したいと思った。

調べていたら邸内を写した写真をUPしたブルグを見つけたので貼り付ける。http://homepage2.nifty.com/K-Ohno/a-map/Shizuoka/3748-HK-house/01-HK.htm

« 北坂伸子先生の韓国料理教室15回目 | トップページ | 伊集院真理子展 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

建築家吉田五十八、施工水沢工務店、造園岩城造園は一つの作品を創りあげるために用意されたマスなのでしょうね。
『惜檪荘だより』を読みましたが、とことん吉田五十八の作品に戻すための行為に脱帽せざるおえません。
惜しむという行為は、旧岸邸にも感じられて私も機会がありましたら、
出かけたいと思っています。

楽居庵様コメントありがとうございます。御殿場にはずいぶん久しぶりで行きました。多分小学校の林間学校以来だと思います。新宿からはロマンスカーあさぎり号が新松田から御殿場線へ乗り入れていますし、高速バスも便利らしいです。惜櫟荘は非公開ですが、こちらは御殿場市のもので、公開するということもあっていろいろ手入れをしたため一部雰囲気が失われています。車いすで来られる方への配慮までしなければいけないようです。チケット売り場がある棟も車庫だったのでそのままにするか、壊した方がいいという意見もあったようですが、御殿場市の意向で現在のような形になったそうです。保存と公開は大きな問題ですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/563570/57642232

この記事へのトラックバック一覧です: 「東山旧岸邸」見学:

« 北坂伸子先生の韓国料理教室15回目 | トップページ | 伊集院真理子展 »